Y-2

雪のアルバム(2)

三浦綾子の作品『雪のアルバム』
芦屋、神戸三浦綾子読書会
編集者 森下 辰衛先生
国立山口大文学部・同大大学院・九州女学院大助教授で、北海道・旭川に居を構えて、三浦 綾子記念館・特別研究員・三浦綾子読書会監修者です。
著作権のお許しをいただいております。
私(三浦)に、いかようにもお使いください。
三浦 綾子の名前だけ出してくださいでした。

その時、どんな話をしたか、どれくらいの時間だったかおぼえていないけれど、その人が、「あのね、清美ちゃん、いい歌を教えてあげるわね。
 おぼえてくれる?」 清美はうなづき、本当にその人が好きになったと告白しています。
優しい美しい声で、その人は、幾度も幾度も歌ってくれました。

かみさまは のきのすすめまで
おやさしく いつもまもりたもう
小さいものをも めぐみたもう
小さいものをも めぐみたもう

 清美もその歌を歌うと、その人はうれしそうに聞いてくれて、白いハンドバッグから千円札を出し、ちり紙に包んで、お祭りのお小遣いよ」、
と清美の手に握らせて、その人は帰って行きました。
幾度も幾度も振り返りながら。
うれしさのあまり、清美はもらった千円札をひらひらさせながら走って帰る途中、近所の女の子と出会います。
自慢げに、千円札をひらひらさせてみせると女の子は、「それ、どこでひろったの」、と言い、「ひろったんじゃない、よその小母さんにもらったの」。
「よそのひとが千円もくれる?」、と疑われ、ついには、店屋から盗んできたにちがいないと言いだし、清美の家までついて来て、
「小母さん、清美ちゃんがみせから千円とったよ」、と大声で叫んだのです。
子ども仲間から「どろぼぅ」扱いにされ、仲間外れにされてしまぅ。
 子どもたちから離れ、一人ぼっちで遊ぶつらさ。それも毎日、来る日も来る日も。
そんなある日、ひとりの男の子が、札幌から夏休みでいじめっ子の家にやってきました。
名前は章。
いじめる子どもたちの中心的役割の女の子とは、わけありの義理の兄、その章が、清美から当時の話を詳しく聞いた後で、言いました。
「この子はどろぼうじゃない」。
 誰か、この子がどろぼうしたところを見たのかと、子どもたちに迫り、清美の悲しく、苦しい心を解放したのです。
 やさしく抱きしめて、あの歌を教えてくれた美しい小母さん、そして章。
二人の住む札幌は清美にとって特別の地となった。
この二人との出会いが、清美が二十三歳になるまでの年月、その間、大きな存在となってさまざまな場面に登場する『雪のアルバム』。
 そのアルバムのぺージのあちこちに、清らかな輝きを放ちます。
 清美の人生の「足の灯」となり「希望の光」となって導いていきます。
清美は四年生の頃から花の絵を描くようになっています。 母は言います。

Y-1

雪のアルバム(1)

三浦綾子の作品『雪のアルバム』
芦屋、神戸三浦綾子読書会
編集者 森下 辰衛先生
国立山口大文学部・同大大学院・九州女学院大助教授で、北海道・旭川に居を構えて、三浦 綾子記念館・特別研究員・三浦綾子読書会監修者です。
著作権のお許しをいただいております。
私(三浦)に、いかようにもお使いください。
三浦 綾子の名前だけ出してくださいでした。

主人公は「私」、もぅすぐ二十三歳になる浜野清美。
北海道、旭川、そして札幌を主なステージに、五歳の頃から生きてきた日々の時間が、読者の目の前に展開されます。
「清い」と「美しい」という名前を恥ずかしいと感じ、親を憎みさえする感情を持って、自分を見つめてきました。
その名前を付けてくれたかもしれない、父の顔を清美は知らない。母と二人での生活。
母には何人かの男の友人がいて、かわるがわるやって来ます。 そのたびに母から、「いいと言うまでおもてで遊んでるんだよ」。
と百円を渡され、表に出されます。
 晴れた日はまだいいが、雨の日も風の強い日も、凍るような寒い日でも、(死んでしまいたいような淋しさ) を、近所の人の好奇の目を受けながら耐える。
 まだ、小学生にもならない女の子の、耐え難い体験です。
 清美が五歳の時の六月、旭川のお祭りの日。家の前にも花笠が高くつるされて、浮き立つような風景があります。
でも、その日も母に言われて、表に出され、淋しさを紛らわすために、独りで地面に絵を描いては消し、また描いたりしていたとき、気が付くと、
いつのまにかうしろに女の人が立っていました。
「アルバム」が輝きを見せる場面です。
 このページがなければ、清美のそれからの人生は、全く違った色彩のなかであえぎ、希望をさえ見いだせないものであったことでしょう。
 その女の人は、品のいい顔立ちをほころばせて、「あなた、清美ちゃんね」。 見ず知らずの人から、「清美ちゃん」と呼ばれて、びっくりします。
どうして名前を知っていたのか。
 「清美ちゃん、小母さんと一緒に、ちょっとその辺まで行ってみない?」
清美はためらわずに、「うんと、答えました。
「小母さんどこの人」と、たずねると、「小母さんね、札幌からきたの」。
 二人が家の近くの清美の大好きな草原まで来たとき、その人が清美をひしと、抱きしめて、はらはらと涙をこぼしたのです。

雪のアルバム

一般社団法人夢と絆

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闇夜を灯す新しい就労移行支援を目指す

三浦綾子読書会

三浦綾子読書会は、作家・三浦綾子の作品を中心に学びと交流を深める会です。
全国各地で開催されており、読書会、講演会、朗読会、文学散歩ツアーなど、多様な活動が行われています。
読書会では、三浦綾子の著作について参加者がディスカッションしながら学び合い、作品の背景やテーマについて深く理解することができます。また、全国大会も定期的に開催され、各地の読書会が集まり、交流を深める機会となっています。
さらに、三浦綾子の作品の舞台を訪ねるツアーや、聖書の学び会なども行われており、文学だけでなく、彼女の思想や信仰についても学ぶことができます。
公式HP:https://miura-ayako.com/

三浦綾子が描く学校と、今 濱村 愛先生

雪のアルバム 三浦 良夫

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