中村哲先生について
水が平和をつくる — 中村哲先生の歩み
医療・灌漑・地域再生に生涯を捧げた人物
中村哲先生(1946–2019)
中村哲先生は、35年以上にわたりアフガニスタンとパキスタンで医療・灌漑事業に尽力した日本の医師です。
ハンセン病治療から始まり、戦争や干ばつに苦しむ人々を前にして「病気を治すだけでは人は救えない、水がなければ生きられない」と考え、井戸掘りや用水路建設へ活動を広げました。
2010年に完成したマルワリード用水路は、砂漠化した大地を緑へと変え、10万人以上の生活を支える農地を再生しました。
現地の人々からは「カカ・ムラド(中村のおじさん)」と呼ばれ、民族や宗教を超えて深く信頼されていました。
2019年、現地での活動中に凶弾に倒れましたが、先生が築いた水路と農地は今も人々の命を支え続けています。
生涯の紹介
1956年福岡県生まれ。パキスタン・アフガニスタンで医療活動を開始し、無医村での診療所開設や戦傷者治療に従事。
干ばつと飢餓の深刻化を受け、「病気を治しても、水がなければ人は死ぬ」と悟り、医療から灌漑事業へ活動の中心を転換した。
医療活動の歩み
- 1984年:ペシャワールでハンセン病治療に従事。
- その後:無医村に診療所を開設し、戦傷者・難民治療に尽力。
- 2000年代:干ばつと飢餓の深刻化を受け、灌漑事業へ転換。
灌漑事業とマルワリード用水路
総延長25km以上の用水路を建設し、砂漠化した土地を再び緑に変え、約10万人の生活を支える農地を再生しました。
山田堰の構造や蛇籠工法を応用し、住民と協働して維持管理可能な仕組みを構築しました。
- 再生農地:16,500ヘクタール
- 恩恵を受ける住民:約10万人
- 自然素材を使った蛇籠工法
- 住民参加型の維持管理
中村先生の思想と言葉
「水があれば、食べられる。食べられれば、争いは減る。」
生活の安定こそが平和を生むという理念は、灌漑事業を通じて地域に深く根付きました。
現地での呼び名:カカ・ムラド(ナカムラのおじさん)
遺されたもの
中村哲先生が遺したものは、構造物や技術だけではなく、
「人々が生きていくための基盤」と「平和をつくる思想」そのものでした。
ペシャワール会の現在の活動
水路の維持管理、農地の保全、地域支援など、中村先生の志は現地スタッフによって今も継続されています。
まとめ
中村哲先生は、医療・灌漑・地域再生を通じて「水が平和をつくる」という思想を実践した人物です。その活動は今も現地で受け継がれ、地域の生活を支え続けています。
